[ダイレクトボンディング]

 ダイレクトボンディングとは薄く削った歯の上に直接何種類もの樹脂を塗り象牙質とエナ
メル質の代わりを作っていくもので、アメリカでは頻繁に行なわれている方法です(直接歯に
 樹脂を貼りつけていくのでダイレクト(直接)ボンディング(貼っていく)といいます)。まず、歯の
 変色した部分を薄く削り取ります。そこに高強度で下の色を遮断するような樹脂を塗ります。こ
 れが象牙質の代わりになります。この時点で歯の色を決めてしまいます。次に透明感が強く粒
 子の細かい樹脂をその上に塗り歯の形を整えます。これがエナメル質の代わりです。この樹
 脂が固まったら表面を磨き、艶出しを行って完成です。きれいに磨かれた表面は天然の歯の
 ような感じとなり、透明感も再現できます。ただし、セラミックスと違い樹脂を使用していますの
 でマニキュアと同様、定期的なクリーニングが必要になってきます。また、1本あたり1時間以上
 かかってしまうため、費用もマニキュアよりかなり高くなってしまうという欠点もあります。2002年
 にはアメリカで今話題のナノ・テクノロジー技術を使った新素材が開発、発売され、より自然の
 歯に近い色合いが再現できるようになり着色も抑えられるようになってきました。これからの技
 術の進歩にも注目ですね。

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 [ラミネートベニヤ]

 ラミネートベニヤとは歯の表面を薄く削ってセラミックス製の薄いシェル状の歯を貼り
付けるものです。ホワイトニングが発達していなかった頃に歯を白くするにはこの方法が一番
 適していました。「エナメル質を取り替える」という感じでしょうか。変色もなく長期間使用するこ
 とができメンテナンスも比較的楽なのですが、セラミックスを使用するため治療代が高くなって
 しまうことが欠点です。現在では歯の色が濃すぎてホワイトニングでは十分に白く出来ない場
 合などに利用していますが、神経のない歯や若年者、歯軋りがある人には使用できません。


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 [オールセラミックスクラウン]

 セラミックスの差し歯やプラスチック製の人工の歯はホワイトニングによって白くすることがで
 きません。現在の人工の歯の色よりも白くしたい場合は差し歯のやり替えが必要になります。
 最近では技術が進歩し、オールセラミックスクラウンといって金属を全く使わない差し歯が出
 来るようになりました。このオールセラミックスの利点は金属を全く使用していないため、歯茎
 が黒く変色したり歯の根元に金属が見えたりすることがありません。しかし最大の利点はホワ
 イトニングした後のきれいな歯の色に合わせられることです。金属を使った差し歯は金属の色
 を隠すために遮断剤を使用するのですが、この遮断剤を使用することにより歯の色は透明感
 のない色になります。歯を自然に白くするには透明度を上げて白くするのですが、金属を使用
 して遮断剤を入れてしまうとどうしてもホワイトニングしたようなきれいな白にはなりません。こ
 のような場合でも、金属を使わないオールセラミックスクラウンに替えることにより、かなり白く
 ホワイトニングした歯でもぴったり合わせることが出来るのです。このようにホワイトニングをし
 た後、きれいになった自分の歯と白くならない人工歯との白さの差が出てしまった場合やホワ
 イトニングを行なった歯くらいまで今までの差し歯を白く治したい場合、また歯並びを矯正せず
 に治したい場合などオールセラミックスであればきれいに仕上がります。
 さらに白い色でセラミックスを作る場合には透明度を高くするため歯の土台も白いものに変
 えないと透けてしまうことがあるのですが、最近ではこの土台もセラミックス製やファイバーを使
 ったものなど白い土台を作ることができるようになりましたので、透けてしまっても大丈夫なの
 です。近年急速な技術の進歩により、今までは無理をすると透明感がなく不自然にしか出来な
 かったような真っ白な歯まで自然な透明感でできるようになったのです。メタルボンドと呼ばれ
 る金属を使った従来型の差し歯ではホワイトニングをした歯に合わせることが難しかったので
 すが、オールセラミックスの進歩によりホワイトニングの後、人工の歯があってもきれいに真っ
 白に出来るようになってきました。


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 [IT技術を使った最新セラミックス]

 オールセラミックスが実用化された1980年頃はすぐ割れてしまう弱い材料というイメージがあ
 りましたが、最近では改良に改良が加えられほとんど割れることがなくなりました。強い圧力を
 かけて作られるオールセラミックスは従来型の金属を使った差し歯に使用されている焼き付け
 セラミックスよりも強いくらいです。近年このオールセラミックスの製作に革命がおきました。
 今、注目されているITを使ってオールセラミックスを作る技術が1993年にスウェーデンで開発さ
 れたのです。通常のオールセラミックスは歯の型をとった後、石膏模型を作りこれを使って技
 工所と呼ばれる作業場でセラミックス製の歯を作成します。しかし、この新しいオールセラミッ
 クスクラウン「プロセラ」は歯の型を取り石膏模型を作った後、専用のスキャナーで歯形を三
 次元的に読み取りこれをオンラインでスウェーデンまで即時に送ります。このデータをもとにし
 てスウェーデンのプロセラ製作センターでCAD/CAMと呼ばれるコンピューターによってオール
 セラミックスクラウンを作るまさにハイテク歯なのです。このコンピューターによる作成技術でセ
 ラミックスの物性が飛躍的に向上し、ほとんど割れることがなくなりました。すでに全世界で
 2002年だけで90万本、累計で300万本以上が使用されており、ここ日本でも2001年発売以来1
 万本近くがスウェーデンより送られてきています。今までの金属を使った差し歯からこのオール
 セラミックスクラウンへどんどん移行しています。近い将来は読み取り用のスキャナーが小型
 化され各歯科医院に1台ずつ普及するようになれば歯の型をとらずにそのまま歯をスキャニン
 グしてスウェーデンに送ることができる時代が来るかもしれません。



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