酸蝕歯のホワイトニング
最終更新日 2024年3月9日
監修:アメリカ審美歯科学会認定医、歯学博士 椿 知之

歯が溶ける!?危ない酸蝕症とは?~酸蝕症でもできる歯を白くする方法<2024年度版>

酸蝕症
目次

1.酸蝕症とは?

2.食品の酸性度

3.酸蝕歯のホワイトニング
 3-1.軽度の酸蝕歯
 3-2.中等度の酸蝕歯
 3-3.重度の酸蝕歯

4.酸蝕歯の予防方法

5.まとめ


最近歯が薄くなってきたのでは?と感じたことはありませんか?日常の食べ物や飲み物で硬いエナメル質が溶けてしまうことがあります。歯が溶けてくると象牙質が透けてくるため、歯が黄色くなってきますが通常のホワイトニングでは白くすることができません。このコラムでは酸蝕症で黄色くなってしまった歯を白くする方法をお教えします。


1.酸蝕症とは?

酸蝕症とは酸性の食品、飲料その他の酸性物質を摂取することにより、歯の硬組織、特にエナメル質が脱灰し、歯が溶けることです。 1970年代に「コーラは歯を溶かす」といわれていたことがありました。この現象はコーラに限らず酸性度強い食品を摂った時に共通に起こる現象です。歯は酸によってカルシウムが溶け出します(この現象を脱灰と言います)。通常は唾液の緩衝作用によって酸が中和され、カルシウムが再び歯に戻る”再石灰化”という現象が起こるため、歯に影響はありません。酸っぱいものを口にしたり、想像しただけでも唾液が出てくるのは、歯に悪い酸を唾液で中和するための生体反応です。唾液が多く出るような食品は歯には良くありません。

しかし酸を長時間口に入れていると、脱灰が再石灰化を上回り歯がどんどん溶けてきます。この状態を”酸蝕”と言います。初期にはエナメル質に艶がなくなるだけですが、さらに酸蝕が進むとエナメル質が薄くなってきて、象牙質の色が透けて歯が黄色くなってきます。さらに進行すると歯が丸く小さくなり、象牙質が出てきてしみるようになってきます。

注意)歯の先端部分には1~2mm程度の透明な層があります。この部分は象牙質がなくエナメル質だけのため透けていますが、酸蝕症ではありません。



2.食品の酸性度



pHとは水素イオン濃度指数のことで、一般的な環境下では0~14まであります。pH7が中性で、それ以下が酸性、それ以上がアルカリ性です。エナメル質の脱灰が起こるpHは約5.5以下です。これを下回る食品を摂る場合には、十分に注意が必要になります。なお通常の食事でも、飲食直後は口の中のpHは5.5以下の酸性になっています。


pH1  クエン酸

ポイント
歯科で虫歯治療に使用されている、エナメル質を一時的に溶かす酸エッチングのpHが約1です。クエン酸を飲む時には十分に注意してください。

pH2 レモン、コーラ、炭酸飲料、栄養ドリンク、梅干し、ピクルス、タバスコ、胃酸など

pH3 お酢、ドレッシング、梅酒、ビタミンC、柑橘系フルーツ(オレンジ、イチゴ、リンゴなど)、 ソーダ、スポーツドリンク、白ワイン、柑橘系ジュースなど

pH4 赤ワイン、ヨーグルト、乳酸飲料、ミックスジュース、ソース、ケチャップ、ポン酢、ビール、発泡酒、梨など

ポイント
梅干しやワイン、お酢などはアルカリ食品として有名ですが、これは体をアルカリ性にする食品という意味で、食品自体は酸性です。梅干しがアルミのお弁当箱を溶かすのも酸が原因です。

pH5 醤油、焼酎、ウイスキー、トマトジュースなど。

注意
上記のpH値は目安です。品種や銘柄によってpHは若干変わってきます。



3.酸蝕歯のホワイトニング


3-1.軽度の酸蝕歯
軽度の酸蝕歯はエナメル質が薄くなっている程度ですので、ホワイトニングは可能ですし、白くすることもできます。

ティースアートの各種ホワイトニング

3-2.中等度の酸蝕歯
中等度の酸蝕歯の場合(歯が丸くなってきている場合など)、ホワイトニングでしみる場合があります。酸蝕歯の多くは歯の裏側が薄くなってきますので、オフィスホワイトニングであれば可能で、ホームホワイトニングはできない場合があります。



3-3.重度の酸蝕歯
重度の酸蝕歯の場合はホワイトニングはできません。特に歯の裏側から見ると神経が透けてしまっている場合があります。このような歯にホワイトニングを行いますと、神経が死んでしまう可能性があります。重度の酸蝕歯を白くするにはマニキュアやセラミックになります。

歯のマニキュア



4.酸蝕歯の予防方法

酸蝕症は防ぐことができます。酸性の食品を摂ってもすぐに歯が溶けるわけではありません。酸性の食品を摂ったらなるべくブラッシングやうがいだけでもすることで歯のダメージを最小限にすることができます。ただし食事直後は口の中が酸性になっていますので、脱灰しているときに歯磨き剤などで強く歯を磨くとエナメル質を傷つけることがあります。このような場合は歯磨き剤を付けずに優しくブラッシングをするといいでしょう。酸性の食品や飲料を摂った後にそのまま就寝するのは絶対にNGです。日常の生活習慣を改善することで酸蝕症は防ぐことができます。摂食障害の方は嘔吐することで、胃酸によって酸蝕症になってしまうことがあります。これもうがいやフッ素歯磨きである程度予防することができます。

注意
ホームホワイトニングを就寝中に行っている方は、朝の食事に特に注意してください。果物やフルーツジュース、トマトジュース、スポーツドリンク、ヨーグルト、サラダドレッシング、梅干しなど、朝食に食べるものには酸性の食品が意外と多いことが分かります。知らずに摂取すると、歯を傷めたり、歯の着色の原因になってしまいます。ホームホワイトニング中の方は、朝起きたらフッ素入りの歯磨きで歯を磨くか、30分以上経ってから朝食を摂ってください。歯科医師にも意外と知られていないホワイトニングの落とし穴です。
食べ物やその食べ方によっては、歯を溶かしたり、歯を黄色くしたりします。正しい知識で歯の健康を維持してください。

また歯のホワイトニングを行った直後は、酸に対する抵抗力がなくなっていますので、最低30分は酸性の食品を控えてください。ただ 歯のホワイトニング後に歯の表面にフッ素を塗るとカルシウムが溶け出すのを防ぐことができます。ホワイトニング後すぐに食事をしたり、ジュースを飲む場合にはフッ素入りの歯磨きで歯を磨いてください。

れもん



5.まとめ

一度酸蝕症でエナメル質が溶けてしまうと人工物で補うしかありません。酸蝕歯になる前に日頃から食べ物、飲み物に注意して寝る前には必ず歯磨きをするようにしましょう。

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