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ウォーキングブリーチ
最終更新日 2022年12月9日
監修:アメリカ審美歯科学会認定医、歯学博士 椿 知之

神経がない歯はウォーキングブリーチで白くできる?


ウォーキングブリーチ

神経がない歯を白くする方法として最も一般的な方法がウォーキングブリーチです。
以前は健康保険の適用もあったため、多くの歯科医院で行われています。

目次

1.ウォーキングブリーチとは?

2.ウォーキングブリーチの方法

3.ウォーキングブリーチのメリット、デメリット

4.ウォーキングブリーチで効果が出ない原因





1.ウォーキングブリーチとは?

ウォーキングブリーチは、神経がない歯の内部にホワイトニング剤を入れて白くする方法で、1963年から行なわれています。
歯の裏側に穴をあけて、元々神経があった穴の中に過ホウ酸ナトリウムと過酸化水素を混ぜ合わせたホワイトニング剤を封入し、
1週間ごとにお薬を交換して白くする方法です。根の治療が完全に終了し、歯の根に問題がないことが条件です。
歯科医院のチェアーに座ってホワイトニングしてもらうのではなく、患者さんに帰宅してもらいホワイトニング剤を
中に入れて歩きながら(ウォーキング)歯を白くするためこの名前が付きました。
今のオフィスホワイトニングやホームホワイトニングが出る前の1989年以前は、この方法しかなかったため、神経がある歯
でも神経を取ってまでウォーキングブリーチを行っていた時代もあります。
現在のホワイトニングが開発された後も、日本では2006年までウォーキングブリーチに健康保険が適用されていたため、
多くの歯科医院でこの方法が行なわれていました。費用は1本1万円前後です。

ウォーキングブリーチとは(英語版)

ウォーキングブリーチとは




2.ウォーキングブリーチの方法

1.神経を取ってお薬をしっかりと詰めます。

2.歯の根に詰めたお薬を歯の根元まで取り除きます。その際に歯の変色を防ぐために神経の取り残しや汚れなどをしっかりと取り除きます。

3.歯の根に詰めたお薬の上にホワイトニング剤が漏れないよう、セメントでシーリングをします。

4.歯の内部にホワイトニング剤を入れて仮詰をします。この時にホワイトニング剤が漏れないように二重に仮詰を行います。

5.一週間に一回ホワイトニング剤を取り替えます。

6.歯が十分に白くなったところでホワイトニング剤を洗い流して再び仮詰をします。

7.ウォーキングブリーチ終了2~3週間後に樹脂を詰めて終了します。
※ウォーキングブリーチ直後はホワイトニング剤の影響により樹脂が十分に固まりません。

ウォーキングブリーチの方法(英語版)




3.ウォーキングブリーチのメリット、デメリット

ウォーキングブリーチのメリット
・ホワイトニング剤を封入して長時間ホワイトニングを行うことができるため、かなり変色が強い歯でも白くなる可能性があります。
・2~3回程度で白くなるため、費用も1本10,000円前後と比較的安く済みます。


ウォーキングブリーチのデメリット
・ホワイトニング剤を完全に密封してしまうため、根の治療が不十分だったり、深くまでホワイトニングを行ったりすると、
 ホワイトニング剤から発生するフリーラジカルが歯の周りの骨に浸透して痛みが出たり、ウォーキングブリーチが終わってから
 数年後に歯の根やその周りの骨が溶けてしまう副作用が報告されています。
 この副作用は1~13%程度とされています。
 ウォーキングブリーチ中に痛みを感じた場合は、すぐに中断したほうがいいでしょう。

ウォーキングブリーチのデメリット

ホワイトニング剤が分解するときに発生するフリーラジカルが象牙細管からシャーピー繊維を通って骨に到達し、
骨を刺激して骨と歯の根を溶かします

骨や歯の根を溶かすリスクがないインターナルオフィスブリーチ




4.ウォーキングブリーチで効果が出ない原因

効果が不確実で白くならない場合があります。ウォーキングブリーチで歯が白くならない原因は、いくつか考えられます。

1.薬剤が漏れている―薬剤が漏れていると、当然効果は薄れてしまいます。
  薬剤が漏れている場合は、お口の中で薬品のような味がします。
2.虫歯や死んだ神経、詰め物などが残っている―物理的に取り除かないと、効果が十分に出ないことがあります。
  一部分が黒かったり、大きい詰め物がある場合は、効果が分かりにくくなってしまいます。
3.薬剤の濃度が低いか古い―通常は35~38%の薬剤を使用しますが調合によっては濃度が低くなる場合があります。
  これは歯科医師が意図的に行っている場合もありますし保存していた薬が古くなっている場合もあります。



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